意匠

意匠法の目的

意匠法の目的は、「意匠」の保護及び利用を図ることにより、意匠の創作を奨励し、産業の発達に寄与する点にあります(意匠法1条)。ここでいう、「意匠」とは、物品の全部あるいは一部の形状、模様、色彩、又は形状、模様、色彩のいずれか或いはすべての結合であって、人の視覚において、美観を起こさせるものを言います(意匠法2条1項)。また、「意匠」にいう物品の一部には、物品に表示されるか、「物品と一体として用いられる物品」(例えば、エアコンの付属品であるリモコンなど。)に表示される、物品の操作の用に供される画像も、含まれます(意匠法2条2項)。

なお、「意匠」は登録しなければ、意匠権を付与されません(意匠法20条1項)。登録された意匠を「登録意匠」と言います(意匠法2条4項)。登録意匠には意匠権が付与され、意匠権者は、意匠を実施する権利を専有します(意匠法23条本文)。つまり、意匠権者以外の意匠の実施は、原則的に禁じられます。意匠法が規制する「実施」とは、意匠にかかる物品を製造すること、使用すること、譲渡すること、貸し渡すこと、輸出入すること、譲渡・貸し渡しの申し出をすることの各行為を言います(意匠法2条3項)。

このように、意匠法は、物品の全部あるいは一部の形状、模様、色彩、又は形状、模様、色彩のいずれか或いはすべての結合で視覚的に美観を起こさせるものを保護対象として、その保護のために実施行為を規制するという方法によって、意匠の創作を奨励し、産業の発達に寄与することを志向します。

意匠とは

意匠とは、「物品…の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合であつて、視覚を通じて美感を起こさせるもの」(意匠法2条1項)を言います。

例えば、商品のデザインや、商品を梱包するラベルのデザイン、サービスに付帯して配布するノベルティなどのデザインを指します。御社の商品名や、ノベルティなど法的に保護したい場合、意匠権を獲得してその保護を図ることも検討されなければなりません。

意匠は物品の形状等であることが必要になります。そして、物品は独立して取引の対象となる動産でなければなりません。意匠自体は物品ではありません。あくまで、物品という有体物の形状(デザイン)という無体物が保護客体になります。すなわち、ひろく存在する形状やデザインのうち、独立して取引の対象となる動産という有体物の形状やデザインのみが、意匠という概念に該当していくことになります。意匠とは、意匠権が保護する保護客体であり、法律上「物品(…部分を含む…)の形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合であって、視覚を通じて美感を起こさせるもの」(意匠法2条1項)を言います。さらに、動産のデザインなどであっても、それだけですべて意匠となるわけではありません。動産のデザインなどのうち、視覚をとおして美感を惹起するものだけが、意匠に該当することになります。もっとも、美感は高度のものまで要求されません。したがって、よほど保護に値しないようなデザインでなければ、動産のデザインを定めたものは、意匠に該当し得ることになります。意匠を権利登録するために出願する際、願書には物品を記載する必要があります。この際の物品は、あらかじめその例が法定され、意匠がデザインを規律している動産を以下の意匠法施行規則別表のいずれかに当てはめて出願する必要があります。もっとも、別表はあくまで例示であり、別表に区分されていない物品のデザイン・形状等も、出願することが出来ます。物品の区分のいずれかにも属さない物品について意匠登録出願をするときは、同程度の区分による物品の区分を願書の「意匠に係る物品」の欄に記載することになります

意匠出願・登録

意匠は登録しなければ意匠権を付与されません。そこでまず、意匠の登録が必要になります。弊所では意匠出願、登録業務を代理で行ったり、そのご相談に乗ることが出来ますので、お気軽にお問い合わせください。

意匠出願

意匠登録を受けようとする者は、①意匠登録出願人の氏名又は名称,②①の者の住所又は居所,③意匠の創作をした者の氏名,④③の者の住所又は居所,⑤意匠に係る物品を記載した㋐願書に,㋑意匠登録を受けようとする意匠を記載した図面を添付して特許庁長官に提出しなければなりません(意匠法6条1項)。願書の様式は、意匠法施行規則に定められた各様式に従うことになります(意匠法施行規則第2条)。

登録意匠の範囲は、願書の記載及び願書に添附した図面に記載され又は図面に代わって願書に添附された写真、ひな形若しくは見本により現わされた意匠に基いて,定められます(意匠法24条1項)。すなわち,願書及び添付図面等は,意匠権の保護客体となる意匠の範囲を確定する機能を有します。したがって,権利保護を受けたい意匠を正確に特定し,伝えていく必要があります。

出願手続きの流れ

出願

特許庁に対して、㋐願書、㋑添付図面等を提出するなど出願手続きを行う必要があります。

審査官による審査

審査官は、出願された意匠について、登録をすべきか、登録を拒絶すべきか、査定します。拒絶事由がないと判断した場合は、登録査定をします。拒絶事由があると判断した場合は、拒絶理由を通知し、反論や訂正の機会を与えます。拒絶理由通知に対して適切な補正が実施されない場合、反論に理由がない場合など審査官が最終的に拒絶理由の存在が否定できないと考えたとき、審査官は拒絶査定を行い,審査を終了します。

登録手続

審査官が査定登録をした場合、所定の登録料を支払う等、登録手続きを行う必要があります。

拒絶査定に対する不服審判

拒絶をすべき旨の査定を受けた者は、その査定に不服があるときは、その査定の謄本の送達があつた日から三月以内に拒絶査定不服審判を請求することができます(意匠法46条1項)。

審決取消訴訟

審判の結果、審決に不服がある場合は、審決取消訴訟を提起することが出来ます。審決に対する訴え…は、東京高等裁判所の専属管轄とされています(意匠法59条1項)。

意匠登録の要件

工業上利用できる「意匠」については、原則的に意匠登録を受けることができます(意匠法3条1項柱書)。

ただし、出願前に日本国内に限らず、日本国外においてであっても、公然知られた意匠は、意匠登録を受けることができません(意匠法3条1項1号)。公然知られた意匠と類似する意匠も同様です(同3号)。同様に、出願前に日本国内、国外を問わず頒布刊行物に記載された意匠、インターネットなど電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった意匠及びこれに類似する意匠も意匠登録を受けることは出来ません(同2号、3号)。但し、意匠を受ける権利を有する者の意に反して公然知られた意匠、頒布刊行物に記載された意匠、インターネットなど電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった意匠には、6か月間意匠登録出願の猶予が与えられます(意匠法4条1項)。また、意匠が公然と知られるなどした原因が、意匠登録権者の行為に起因する場合も、証明書(同3項)を出願から30日以内(30日以内に提出できないことに帰責事由がないときは提出できない理由がなくなった日から14日以内(ただし出願から30日経過後六日月経過した場合を除く)(同4項))に提出すれば6か月間の猶予を得ることができます(同2項)。

さらに、日本国内、国外を問わず、公然知られた意匠に基づいて、当該意匠分野における通常の知識を有する者が容易に創作できる意匠についても、意匠登録を受けることができません(意匠法3条2項)。但し、意匠を受ける権利を有する者の意に反して公然知られた意匠から容易に創作できる意匠については、6か月間の猶予が与えられます(意匠法4条1項)。また、意匠が公然と知られるなどした原因が、意匠登録権者の行為に起因する場合も、証明書(同3項)を出願から30日以内(30日以内に提出できないことに帰責事由がないときは提出できない理由がなくなった日から14日以内(ただし出願から30日経過後六日月経過した場合を除く)(同4項))に提出すれば6か月間の猶予を得ることができます(同2項)。

出願日前の他の意匠出願で意匠広報に掲載されたものを先の意匠登録出願と言います。先の意匠登録出願がある場合、先の意匠登録出願にかかる意匠、あるいは、これと類似する意匠については原則的に意匠登録を受けることができません(意匠法3条の2本文)。
同一又は類似の意匠が別の人物によって別の日に出願された場合は最先の意匠登録出願人しか意匠登録を受けることができません(意匠法9条1項)。同日に複数の出願があったときで、出願人が誰が登録を受けるかについて協議できないとき、協議したが協議が整わなかったときは、全出願人が登録を受けることができません(意匠法9条2項)。ただし、先になされたか、同日になされた他者の出願と同一か、類似の意匠を関連意匠とする本意匠出願が、先になされたか、同日になされた他者の出願より先の日になされており、本意匠登録出願が掲載された意匠広報の発行日前であるときは、関連意匠について意匠登録を受けることが可能です(意匠法10条)。

公の秩序、乃至は善良の風俗を害するおそれがある意匠は、意匠登録を受けることができません(意匠法5条1号)。

また、他人の物品と混同を生じる恐れがある意匠も同様に、意匠登録を受けることができません(同2号)。

物品の機能を確保するために不可欠な形状からのみからなる意匠も、同様です(同3号)。

意匠登録出願

意匠登録出願は、意匠ごとに行わなければなりません(意匠法7条)。一意匠、一出願が原則とされます。一組の下着セットなど(意匠法施行規則別表2、意匠法施行規則8条)同時に使用される2以上の物品を組物と言います。組物については、組物全体として統一があるときに限り一意匠として出願できます(意匠法8条)。

意匠登録出願の際は、①意匠登録出願人の氏名・名称、②意匠登録出願人の住所又は居所、③意匠の創作をした者の氏名、④意匠の創作をした者の住所又は居所、⑤意匠に係る物品を記載した願書(意匠法6条1項各号)に、意匠を記載した図面を添付して特許庁長官に提出する必要があります(意匠法6条1項)。写真により意匠が明瞭に現される場合(意匠法施行規則4条1項)は、意匠を記載した図面に代えて、意匠の写真を提出することができます(意匠法6条2項)。概ね、こわれにくいもの又は容易に変形し若しくは変質しないもので、取扱い又は保存に不便でないもので、袋に納めた場合において、その厚さが七ミリメートル以下のもので、その大きさが縦二十六センチメートル、横十九センチメートル以下のもの(意匠法施行規則5条1項各号)については、意匠を記載した図面に代えて、意匠の見本乃至はひな形を提出することができます(意匠法6条2項)。意匠の大きさ、材質が認識できない場合は、材質、大きさを特に願書に記載する必要があります(同3項)。意匠が変化する場合は、変化の前後にわたる意匠について意匠登録を受ける旨等を特に願書に記載する必要があります(同4項)。また、意匠の一部が透明であるときはその旨を願書に特に記載する必要があります(同7項)。

仮通常実施権

意匠登録を受ける権利を有する者はその意匠登録にかかる意匠及びこれと類似の意匠について、他人に仮通常実施権を許諾することができます(意匠法5条の2第1項)。仮通常実施権は、意匠登録後、意匠登録までの期間においても、通常の実施権を許諾していたものと看做されます(意匠法5条の2第2項)。

意匠権の譲渡、利用許諾

登録した意匠に付与される意匠権を売買の目的とする場合(意匠権の譲渡)、或いは第三者に使用させることで利益を得る場合(意匠権の利用許諾)など、契約当事者において合意を形成し、合意を書面化しておくことが後の紛争化を防ぎます。法律の専門家において,合意を書面化したり(契約書作成:1通5万円-)、合意が適切に書面化されているか確認(契約書チェック:1通3万円-)することが可能です。

意匠権の侵害対応

登録した意匠を侵害した場合、意匠権の侵害として損害賠償請求、差止請求などを行うことが可能です。また、意匠登録をしてない場合でも、条件を満たせば不正競争防止法や民法などに基づいて、損害賠償請求、差止請求などが可能な場合があります。弁護士において、任意で損害賠償の支払いや意匠の使用差し止めを交渉することが出来ます(代理交渉:1件につき当事務所報酬規程の額(下記参照))。また、任意での話し合いでは決着しないとき、訴訟によって決着をつけることも可能です(訴訟代理:1件につき当事務所報酬規程の額)。

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